非常用自家発電装置を緊急対応できる状態に維持
非常用発電機の役割と現状
消防法によって、消防用設備を備える延べ床面積1000平方メートル以上の不特定多数が出入りする病院や商業施設、オフィスビルなどに
は、非常用発電機を設置することが義務付けられています。
この非常用発電機は、地震や火災の発生時には40秒以内に電圧を確立できるように常時スタンバイされ、火災報知器、スプリンクラー、誘
導灯、非常用エレベーターなどに電力を供給します。
ところが、一般社団法人日本内燃力発電設備協会調べによると、2011年に発生した東日本大震災では、不始動・停止とされる 発電機が233台、その中で整備不良で作動しなかった発電機が7%、途中で異常停止した発電機が26%もあり、このことが被害を拡大 させる要因の一つにもなったと言われています。
保守、点検の重要性
非常用発電機は、緊急時に確実に機能するということが求められますが、通常時は動かさないため、定期的な点検や整備により、いざというときに「動く」状態を維持することがとても重要になります。
特に非常用発電機の大半を占めるディーゼル発電機では、長時間運転しないことにより、
- 潤滑油切れによるシリンダー内の異常摩擦
- カーボン付着による排気系統の障害
- 軸受けの損傷・焼き付け
などの障害が発生するリスクがありますので、定期的に試運転及び点検を行い、故障原因のもととなる現象を見つけ、適切な整備を行い、緊急運転時の障害を未然に防ぐことが大切です。
また、一年に一度の総合点検の運転性能確認方法は、「負荷運転」のみでしたが、これに代えて行うことが出来る点検方法として「内部監察等」が追加されました。内部監察とは、エンジン分解(簡易オーバーホール)による性能確認=状態の観察です。また、運転性能の維持に係る「予防的な保全策」が講じられている場合には、「負荷運転または内部監察等」による運転性能確認実施間隔を最長6年まで延長することが可能となりました。
潤滑油、冷却水(クーラント)、潤滑油・燃料フィルタ、ファンベルトなどの点検・交換=定期メンテナンスです。